Publication

日本消化器外科学会雑誌 51, 5, 365 - 372 (2018)
術後に皮膚筋炎関連間質性肺炎急性増悪を来し縫合不全との鑑別を要した下行結腸癌の1例

著者

橋本 慎太郎, 野中 隆, 富永 哲郎, 和田 英雄, 國崎 真己, 飛永 修一, 角田 順久, 日高 重和, 梅田 雅孝, 澤井 照光, 永安 武

カテゴリ

学術論文

Abstract

症例は65歳の男性で,筋痛・手指腫脹を主訴に内科を受診し抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎・間質性肺炎と診断された.全身精査の下部消化管内視鏡検査で下行結腸癌(cStage IIIa)が発見されたため,腹腔鏡下結腸左半切除術を行った.術後4日目に間質性肺炎急性増悪を来し,ステロイドパルス療法・シクロスポリン内服・シクロホスファミド間歇静注を開始した.術後7日目に腹痛が出現しCTで腹腔内遊離ガスおよび後腹膜気腫を認めたことから縫合不全も疑われたが,腹膜刺激症状やバイタルサインの変動に乏しく,間質性肺炎急性増悪に伴う縦隔気腫の腹腔内波及と判断した.抗菌薬治療を追加したところ,その後の経過は良好で,術後41日目に軽快退院した.抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎は急速進行性間質性肺炎を併発する可能性が高いため,合併した悪性腫瘍に対して外科的治療を行う場合は注意が必要であると考えられた.