Publication
長崎医学会雑誌 85, 3, 117 - 122 (2010)
新しい鉗子型超音波凝固切開装置を用いた肝膵手術の有用性
著者
七島 篤志, 阿保 貴章, 飛永 修一, 羽田野 和彦, 澤井 照光, 永安 武
カテゴリ
学術論文
Abstract
鉗子型超音波凝固切開装置Harmonic Focusを用いて施行した肝切除7例(片肝切除5例・部分切除2例)と膵切除8例を対象に術後成績を検討した。肝部分切除例ではいずれもPringle法を行わずに肝実質切離を行った。1例は高度な肝硬変であったが、出血を制御しながら切離を行うことが出来た。片肝切除例ではKelly鉗子法+CUSAでまず肝実質を破砕し、残存組織を鉗子型超音波凝固切開装置で凝固切離した。概ね出血を制御しながら切離可能であった。過去5年間の鉗子破砕法+結紮による片肝切除22例との比較では、肝実質切離時間に差はなかったが、出血量は減少する傾向にあった。膵切除術でも全例で出血を制御しながら切離を行うことが出来た。1例に膵液漏を認めたが、grade Aの軽微なものであった。なお、15例全例で鉗子型超音波凝固切開装置に伴う重篤なトラブルは認めなかった。