ヘルスリテラシーに関する研究,開発途上国における健康・栄養に関する研究,急性期看護に関する研究を行っています。
ヘルスリテラシー/看護教育に関する主要な研究
現在,インターネットが広く普及し,患者も健康関連情報を得るためにインターネットを利用することが一般化してきています.しかし,インターネット上の健康関連情報には偏りがあることや,信頼性が低いものが多く,混乱や不安を生じている患者も多いことが報告されています.患者にはインターネット上の健康関連情報を適切に検索,評価,活用する能力であるeヘルスリテラシーが必要とされており,その能力向上のためには看護師による指導が重要であると考えますが,国内における看護大学生や看護師のeヘルスリテラシー,eヘルスリテラシーに関する看護師の患者指導経験に関する現状は明らかにされていませんでした.
限定された地域での調査にはなりますが,我々のこれまでの調査において「日本の看護学生・看護師のeヘルスリテラシーが低い」ことが明らかになりました。今後は,看護職へのeヘルスリテラシー教育の開発,患者へのeヘルスリテラシー教育の開発や介入研究を目指していきます.
【ヘルスリテラシー/看護教育の主な研究成果】
Association between eHealth literacy and health education experiences, and confidence regarding online health information among nurses: A cross-sectional study. CIN - Computers Informatics Nursing, 2023 (IF: 1.3)
Perceived eHealth Literacy and Learning Experiences Among Japanese Undergraduate Nursing Students: A Cross-sectional Study. CIN - Computers Informatics Nursing, 38, 198-203, 2020 (IF: 1.3)
The actual–ideal gap in work–life balance and quality of life among acute care ward nurses. Journal of Nursing Management 2020 (IF: 4.680)
Interest in medical health care for foreign residents among Japanese nursing students in areas of varying ethnic diversity. Nurse Educ Today. 65, 41-5, 2018 (IF: 3.9)
Comparison of opportunities to learn about HTLV-1/HTLV-1-related diseases and HIV/AIDS among nursing students in Nagasaki University. Health Science Research. 29, 67-72, 2017
Japanese undergraduate nursing students with international exchange experience anticipate a probability of providing care to foreign nationals as a nurse. Health Science Research. 29, 73-80, 2017
A study on undergraduate nursing students' perspective of healthcare provision for foreign nationals: a survey on Japanese and Korean university students. Health Science Research. 30, 1-10, 2017
急性期病床看護師におけるワーク・ライフ・バランスの理想と現実のギャップとQOL の関連: 横断的研究. 日本看護科学学会学術集会講演集, 40th-suppl, 389. 2020.
看護大学生におけるeヘルスリテラシーの現状と学習経験の認識との関連. 日本看護研究学会雑誌, 42(3), 419. 2019.
【ヘルスリテラシー/看護教育の主な研究費獲得状況】
2024-2027 看護学生・看護職のeヘルスリテラシー向上を目指したオンライン教育プログラムの開発(研究責任者)
開発途上国における健康・栄養に関する主要な研究
これまでケニア共和国を中心にこどもの健康・栄養に関する研究を実施してきました.「ローカルの問題はローカルで解決できる方法で」をモットーに,地産地消の食品を利用した栄養指導プログラムの開発を構築し,SDGSの達成への貢献を目指しています.
【開発途上国の健康・栄養の主な研究成果】
Relationship between dietary patterns and stunting in preschool children: a cohort analysis from Kwale, Kenya. Public Health. 173, 58-68, 2019 (IF: 4.984)
Factors associated with the awareness of contraceptive methods, understanding the prevention of HIV/AIDS and the perception of HIV/AIDS risk among secondary school students in Dar es Salaam, Tanzania. Journal of Rural Medicine : JRM, 15(4), 155-163. 2020.
Factors associated with stunting among children according to the level of food insecurity in the household. BMC Public Health. 15(1), 2015 (IF: 3.295)
Community unit performance: factors associated with childhood diarrhea and appropriate treatment in Nyanza Province, Kenya. BMC Public Health. 17(1), 2017 (IF: 3.295)
Effects of three interventions and determinants of full vaccination among children aged 12-59 months in Nyanza province, Kenya. Public Health. 129(11), 1530-8, 2015 (IF: 4.984)
Profile: The Mbita Health and Demographic Surveillance System. Int J Epidemiol. 42(6), 1678-85, 2013 (IF: 9.865)
Perceptions of caregivers about health and nutritional problems and feeding practices of infants: A qualitative study on exclusive breast-feeding in Kwale, Kenya. BMC Public Health. 13(1), 2013 (IF: 3.295)
Health and demographic surveillance system in the western and coastal areas of Kenya: An infrastructure for epidemiologic studies in Africa. J Epidemiol. 22(3), 276-85, 2013 (IF: 3.809)
【開発途上国の健康・栄養の主な研究費獲得状況】
2020-2024 基盤研究(A) 子供の成長と生活環境に関するアフリカ出生コホート研究(研究分担者)
2014-2017 若手研究(B) ケニアにおける地域の食文化と環境に根ざした看護職主導の栄養改善プログラムの開発(研究代表者)
2013-2017 基盤研究(A) アフリカにおける地域特性を考慮した乳幼児の健康改善モデル構築に関する疫学研究(研究分担者)
急性期看護に関する主要な研究
脳卒中患者のせん妄の発症率は13-48%を示し,せん妄群は非せん妄群に比べて入院中および12ヶ月後の死亡率が高く,平均在院日数が9.39日延長し,長期療養施設へ転院する傾向にあることがこれまでの研究で明らかにされています.一方,転倒などの入院中のインシデントの増加やせん妄を発症した患者の対応に追われるスタッフの疲弊など,その影響は広範囲にわたり,患者および医療現場に大きなインパクトを与えています.そのようなインパクトを与えているにも関わらず,せん妄に対する標準化された予防的看護ケアは普及の動きがみられない現状にあります.
せん妄発症を誘発する日常生活変化(睡眠障害,排尿・排便トラブル,視聴覚障害,ライン類の装着,疼痛・掻痒感,身体拘束)や環境変化(個室,騒音,不適切な照明,カレンダー・時計などの不備)を含む促進因子は,看護ケアによる対応・改善が可能な因子と考えられ,看護師の積極的な介入が望まれています.本研究では,せん妄の促進因子の中でも,介入が容易かつ標準化が可能な環境調整に着目し,「65歳以上の脳卒中患者に対して環境調整介入を行うことでせん妄の予防が可能か」を明らかにすることを目指しています.
【急性期看護の主な研究成果】
脳卒中ケアユニットに入室した患者のせん妄の発症率および看護ケアで対応可能なせん妄リスク因子の検討. 第47回日本脳卒中学会学術集会, 2022.
脳卒中及び半側空間無視における頭部回旋位の発生に関する要因の検討. 第41日本脳卒中外科学会学術集会, 2016.
【急性期看護の主な研究費獲得状況】
2019-2023 基盤研究(C) 脳卒中患者に対する環境調整介入によるせん妄の予防効果(研究代表者)
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田中準一研究室メール
最終更新日: 2024年5月21日
(文責:田中準一)